東京医科歯科大学技友会 沿革

会長 山下 勘二

【技友会の沿革】


● 永楽病院から文部省歯科病院へ
1897(明治30)年7月、医術開業試験に供用する患者の収容を主目的とした東京医術開業試験場附属永楽病院が、東京市麹町区永楽町(現在の千代田区丸の内)において開院した。1907(明治40)年には歯科が設置され、1908(明治41)年に小石川区雑司ヶ谷町(現在の豊島区雑司が谷)に移転した。

1917(大正6)年、医術開業試験の廃止により、永楽病院は東京帝国大学附属医院分院(小石川分院)と文部省歯科医術開業試験附属病院に分離された。翌1918(大正7)年、歯科医術開業試験附属病院は神田区錦町(現在の千代田区神田錦町)に移転した。
  
東京高等歯科医学校第一附属医院    東京高等歯科医学校第二附属医院
● 技工見習生の採用
日本でも体系化した技工士教育が必要との認識から、1919(大正8)年、歯科医術開業試験附属病院において、見習い期間4年の技工見習生が採用された。ただし、これは病院の内規によるもので、採用は縁故関係者や小学校長の推薦によってなされ、辞令には技工室専属給仕と記され、実際にお茶くみのような雑用もこなし、俸給が支給された。

1922(大正11)年、歯科医師開業試験規則の実施に伴い、歯科医術開業試験附属病院は歯科医師試験附属病院に改称された(以後、両病院の総称を文部省歯科病院と記す)。

● 東技会の発足と技工手養成科の設置
文部省歯科病院では、院長が主人で職員が家族の一員であるかのようで、行楽も病院全体で出かけていた。しかし技工室の職員が増えるに従い技工室独自の行事が多くなってきたので、1928(昭和3)年、技工見習生と技工室職員からなる親睦組織―東技会が発足した。同年、文部省歯科病院内に東京高等歯科医学校(現在の東京医科歯科大学)が開設された。これに伴い、翌1929(昭和4)年、文部省歯科病院は東京高等歯科医学校附属医院に改称された。

1929(昭和4)年には、文部大臣の認可を受けた4年制の技工士養成機関―技工手養成科も東京高等歯科医学校に設置された。入学試験は課されたが、給与や賞与が支給され、生徒というよりも職員の待遇であった。技工手養成科において「手」という字を用いた理由は、当時一般では技工師と称したが、官制により技術者は技手に任官するため、その「手」をとったためといわれている。これは東京高等歯科医学校内だけの呼称であった。技工見習生は技工手養成科に編入されたので、東技会は養成科生と技工室職員からなる組織となった。


1930(昭和5)年、東京高等歯科医学校と同附属医院が小石川区湯島(現在の東京医科歯科大学の所在地)に移転した。湯島の医院を第一附属医院と称したことに伴い、神田区錦町の附属医院は東京高等歯科医学校第二附属医院と改称された。技工手養成科も湯島へ移転した。
1930(昭和5)年の東技会行事―“長門”拝艦

1941(昭和16)年に勃発した大東亜戦争の影響で、東技会行事のほとんどは出征する会員の送別会となっていった。
東技会員出征時の記念撮影
● 親技会の発足
技工手養成科を卒業した人達が増え、外部に勤務する人が多くなってきたため、1942(昭和17)年、学内勤務者を除く技工手養成科卒業生からなる親技会が発足した。

東京高等歯科医学校は1944(昭和19)に東京医学歯学専門学校となる。

東技会、親技会ともに戦時中は本来の行事を中断していたが、戦後の復員が進むにつれて再び活動を始め、スポーツ、演芸等が行われるようになっていった。
● 技友会の誕生
東京医学歯学専門学校は、1946(昭和21)年に東京医科歯科大学(旧制)となる。

1949(昭和24)年、東技会主催による技工手養成科創立20周年記念式典が挙行された。同年、東技会と親技会の合併問題が提起され、1950(昭和25)年の東技会臨時総会と親技会委員会において、両会の合併が審議された後、全員賛成をもって可決された。そして、両会により会則が作成され、1950(昭和25)年4月2日、東技会と親技会の合併による同窓会―技友会が誕生した。同年、技工手養成科の募集も打ち切られた。


東京医科歯科大学(旧制)は、1951(昭和26)年に東京医科歯科大学(新制)となる。

技工手養成科を引き継ぐ形で、1952(昭和27)年に東京医科歯科大学歯学部附属歯科技工士学校(本科)が開設された。1955(昭和30)年、本科1期生が卒業したが、この卒業生も技友会に入会した。
本科1期生の卒業記念謝恩会
歯科技工士の資格を持った者に対し、充実した技工実習により高度なテクニックを習得した技工士に育成する課程―実習科が1957(昭和32)年設置された。1959(昭和34)年の実習科第1期修了生も技友会員となる。

2011(平成23)年4月に、本科課程が歯学部口腔保健学科口腔保健工学専攻として4年制の学士課程に移行した。この学士課程の学生も、学生会員として技友会の一員となっている。

2014(平成26)年3月東京医科歯科大学歯学部附属歯科技工士学校は、技工士学校としての最後の学年となる実習科56回生を世に送り出しその歴史の幕を下ろした。

2015(平成27)年3月口腔保健工学専攻の第1回生が卒業を迎えた。この口腔保健工学専攻の1回生が、技友会の学生会員から正会員となったのを機に、技友会は正式名称を「東京医科歯科大学技友会」と改称した。

【技友会の活動】

● いかなる時も 母校と共に
「本会は会員相互の親睦融和を図り、会員と母校の密接な連絡を保ち、もって母校および斯界の発展に寄与することを目的とする」と会則にあるように、発足以来、いかなる時も母校と活動を共にして現在に至っている。 その活動内容は、以下のように多岐にわたっている。
  定例総会
  会誌・会報、記念誌の発刊
  周年記念事業、記念事業
  会員間親睦会、懇親会の開催
  在校生とのスポーツ交流・親睦会
  学術講演会・学術研修会・文化講演会の開催
● 会誌の発刊
  
1949(昭和24)年の会誌 『技友』創刊号    2012(平成24)年5月21日発刊 『技友』63号
● 会報 『技友会だより』
年に4回の発行
  
技友会だより 2008年春号    技友会だより 2010年夏号
● 主な記念事業と記念誌
2011年7月18日 東京医科歯科大学 歯科技工教育 学士課程移行記念事業
“歯科技工教育の飛翔”
2009年3月28日 歯科技工教育80周年記念講演会・祝賀会
2006年3月25日 石綿 勝 先生「歯科技工教育への貢献に感謝する会」
2004年7月17日・18日 東京医科歯科大学歯科技工教育75周年記念大会
1979年5月12日 東京医科歯科大学歯科技工士教育50周年記念行事
     
歯科技工士教育
50周年記念誌
   歯科技工教育
75周年記念誌
   歯科技工教育
学士課程移行記念誌
● 親睦・交流 母校支援事業
ボーリング大会の開催 2年に一回、在校生とOBとの親睦・交流を目的としたボーリング大会を開催
文化・スポーツ活動支援 学術以外の、文化・スポーツ活動について、その活動を支援(助成金)している。現在は、アウトドア同好会、ゴルフ同好会、テニス同好会がある。